本施工事例は、京都市内の住宅庭園において実施した、伝統的な和の意匠と現代的な照明デザインを融合させた庭園リノベーションプロジェクトです。施主様のご希望は「四季を通じて美しく、夜も光の演出で安らぎを感じられる庭」というものでした。既存の庭園は経年劣化が目立ち、石組みのバランスも崩れていたため、基礎から丁寧に見直しを行いました。
設計にあたっては、日本庭園の三大要素である「水・石・植栽」を軸に据えつつ、現代生活に馴染む機能性と視覚的な洗練を追求しました。中心となる石橋は地元の採石場から選び抜いた自然石を使用し、その下を小川のような水の流れが通り抜ける構成としました。水音が庭に静けさをもたらし、来客者からも高い評価をいただいています。石の配置には「守・破・離」の概念を取り入れ、単なる再現ではなく、現代的な感性との対話が生まれるよう工夫しています。
照明計画では、グレアレス(眩しさを抑えた)のLEDスポットライトを要所に配置し、石燈籠・樹木・水面をそれぞれ異なる角度と色温度で照らし分けることで、昼とは全く異なる夜の庭の表情を演出しました。電球色(2700K)を基調とし、植栽には3000Kのライトを組み合わせることで、温かみと奥行きのある空間を実現しています。スマートフォンから照度や点灯スケジュールを管理できる制御システムも導入しており、暮らしの変化に合わせた柔軟な使い方が可能です。
全体の施工期間は約3週間。造園工事・電気工事・左官工事の各専門スタッフが連携しながら進めました。既存の樹木(松・モミジ・ツツジ)は可能な限り移植・保存し、お庭に宿る歴史と記憶を次の世代へ引き継ぐ設計としました。完成後のお引き渡し時には、施主様から「夜ここに座っていると、時間の流れがゆっくりになる気がする」とのお言葉をいただき、私どもとしても大変光栄に感じております。
GALLERY 施工写真ギャラリー
DESIGN POINTS 施工のポイント
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自然石を活かした石組みと水景の再構成 地元産の自然石を厳選し、水の流れと一体となった石橋・護岸を設計しました。石の大小・表情を読みながら配置することで、人工的な印象を持たせずに機能と美観を両立させています。循環式ポンプを地中に収め、メンテナンスも容易な構造としました。
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グレアレスLED照明による夜間演出の設計 石燈籠・樹木・水面にそれぞれ最適化した配光のスポットライトを配置。色温度の使い分けと照度の段階制御により、夕暮れから深夜にかけて変化する光の物語を演出します。すべての照明はスマートフォンアプリで一括管理が可能です。
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既存樹木の保存移植と新規植栽の調和 施主様が長年大切にされてきた松・モミジ・ツツジを専門的な技術で移植・保存。新たに植栽したコケ・シダ・ヤブコウジとの調和を図り、年月を経るごとに深みを増す庭の姿を設計しました。植栽の選定では管理の負担が少ない品種を優先しています。
COMMENT 担当者コメント
このプロジェクトでは、「夜に光る庭をつくりたい」という施主様の言葉が私どもの設計の原点となりました。日本庭園の美しさは昼の姿だけではなく、闇の中に浮かび上がる石や水面の輝きにこそ宿ると考えています。照明器具の選定から配線ルートの検討まで、現場を何度も歩き、夜間の確認を重ねながら丁寧に調整を続けました。お引き渡し後も定期的にお伺いし、植栽の成長に合わせた照明の調整を続けています。この庭が施主様の毎日の暮らしに寄り添い、四季の変化をともに感じていただける場所であり続けることを願っています。
担当デザイナー / Birch Lantern Way